舌下免疫療法について
- 2024年4月23日
- 花粉症
春の花粉症シーズンもスギからヒノキへと移り変わり終盤を迎えつつあります。
当院にも連日、多くの花粉症患者様が来院されました。
今回は、スギの飛散期を終えたこの時期から導入可能な舌下免疫療法についてご紹介させていただきます。
・舌下免疫療法とは
現在スギ、ダニの2種類について製剤がつくられています。少量のアレルゲンを舌下から摂取することにより体質改善を試みる治療です。
毎日の舌下投与を、3〜5年繰り返すことにより、アレルギー自体の根治、治癒を目指します。
ご自宅でも簡単に投与でき、早い方ですと開始から数ヶ月で効果を実感できます。
冒頭でも少し触れた通り、スギに関しては飛散期を避け、毎年5月後半頃より導入可能となっています。ダニに関しては通年、導入可能です。
・ランニングコストについて
月の再診療は、3割負担で約700円です。(小児は公費が適応されます。)薬代は月に約2,000円です。
年間で、約33,000円であり、3年治療を継続した場合、約100,000円となります。
効果は平均で7〜8年持続すると言われているため、毎日の抗ヒスタミン剤内服に換算すると少なく見積もり、10年分程度に該当することになります。
抗ヒスタミン剤の種類によってもコストは異なりますが、通院含め治療代が2,500円とすると、10年で300,000円かかり、単純計算で200,000円の節約になります。
・メリット
アレルギーの根治を目指す治療なので、体質改善後の内服の手間を省くことができる可能性があります。抗ヒスタミン剤の内服が不要になる方もおり、内服薬の副作用による眠気なども回避されます。また、スギ・ダニの舌下免疫療法を行うことで、身体のその他のアレルギー反応を抑える働きもあると言われています。
また、導入時期を過ぎて維持期となれば妊娠も可能です。妊娠中は抗ヒスタミン薬などの内服治療は積極的には推奨されないため、舌下免疫療法による体質改善は有効といえます。
お子さんには公費が適用されますので、治療に対する負担は少なく、早めに導入することで、受験時期における身体的負担を軽減できます。
・デメリット
治療中は毎日の投与が必要です。導入時期は、段階を踏んでの通院と、その後は毎月1回の通院をお願いしております。
また、副作用にも注意が必要です。死亡例は報告されていませんが、口腔内のかゆみなど軽度の副作用の発現は多く見られます。
舌下免疫療法を開始する患者様は年々増加しています。
快適に通院していただけるように、努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。
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